2010年5月25日火曜日

親切になった正露丸

いらっしゃいませ、薬屋です!

日本人の認識率がやたらと高い薬のひとつ正露丸。
こんな薀蓄あるぞ!って有名なのが、その名前の由来です。

日露戦争前に「クレオソート丸」として創薬され、ロシアを征伐するための薬という意味で「征露丸」と命名されました。
初代は「忠勇征露丸」として日本帝国陸軍の胃腸薬でした。
その後、現在の「正露丸」に。

⇒大幸薬品「正露丸あれこれ話・製品ヒストリー

正露丸のご相談で多いもののひとつに、使用期限に関することがあります。
「家にある正露丸の賞味期限がわからんのよ」
……お薬は『使用期限』っていうんですけど。
「この前買うたのに平成10年の2月の10日って書いてあるんよ」
「わからんのよ。今って何年で?」
だいたいは、こんな感じです。

高齢者の人の「この前」は、1週間前だったり、半年前だったり、ときに10年前だったりします。
高齢者が生きてきた80年に比べれば、10年なんて「ついこの前」です。
「この前」を鵜呑みにして「つい最近」だと思っていはいけません。

原因は使用期限の表示方法にありました。

一般に、2010年10月までが期限のものなら、『2010/10』のように、『年/月』と表示してあるものが多いです。
この場合でも、田舎の薬屋ご利用の高齢者の人は、『平成20年10月10日』と読んでくれます……。

大幸薬品HPの『使用期限の見方』にもあるように、昨年の今頃まで販売されていた正露丸に表示されていたのは、『使用期限(月/年)』。

外箱の底面にも、瓶の側面にも同じ表示がされていました。
2010年10月なら、『10/2010』と記されていました。
それを、『平成10年2月10日』と脳内変換される高齢者が多数おいでます。

どうやら「平成10年の2月の10日」と読んだお客様の「この前」は、4年ほど前のようです。

使用期限、賞味期限、消費期限などは、食品などで日々目にするものです。
多くは、『年月日』を記しているため、どうしても『日』まで書かれているものとして見てしまうのでしょう。
ましてや、西暦よりも元号を使う傾向にある高齢者。
「わからんのよ」というお客様は、今が西暦何年かがわからないのです。
……薬屋薬剤師は、元号が苦手なんですけど。

現在は、使用期限表示が『年/月』表示に変更されています。
日本人が慣れた表示方法に変更されました。

格段に親切になりましたね。

さすがに、『2013/10』」を『20年13月10日』と読む人はいないでしょう……。
こういうのは、「間違うたこと書いとる!」って怒ってくるんですよ。

またのご来店をお待ちしております。

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