2010年5月31日月曜日

子宮頸がん

いらっしゃいませ、薬屋です。
今日は、子宮頸部扁平上皮がんについてです。

子宮頸部(しきゅうけいぶ)にできるがんを、子宮頸がんといいます。
子宮頸がんはその他のがんと異なり、原因が解明されているがんです。
子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることが明らかになっています。

HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100種類以上のタイプがあります。
このうちの約15種類は子宮頸がんの原因となることが多いため、発がん性HPVと呼ばれています。
そのなかでも、HPV 16型とHPV 18型と呼ばれる2種類は、子宮頸がんを発症している20~30代の女性の約70~80%から見つかっています。

発がん性HPVは、多くの場合は性交渉によって感染すると考えられています。
性器のまわりの皮膚や粘膜との密接な接触などによっても感染することがあるので、コンドームは感染を防ぐ有効な手段ではありますが、完全に防ぐことはできません。
それでもコンドームはある程度は有効だとされています。





発がん性HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどとてもありふれたウイルスです。
ほとんどの女性は感染履歴があり、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。
HPV に感染しても多くの場合は、免疫力によって HPV が体内から排除されます。
HPV 感染の大半は2年以内に自然消失するのですが、約10%の人では感染が長期化(持続感染化)します。
子宮頸がんは発がん性 HPV が長期間感染することによって引き起こされます。
子宮頸部の細胞に異常(異形成)を生じ、さらに平均で10年以上の歳月の後、感染者の1%以下が子宮頸がんに進行します。

子宮頸がんは、定期的な検診によってがんになる前に発見できる病気でもあります。
さらに、原因がウイルスであると分かっていますので、ワクチンによる予防もできます。
ワクチンとは、病気の原因となる細菌やウイルスなどをあらかじめ接種しておき、病気を防ぐ方法です。
子宮頸がん予防ワクチンは、発がん性HPVの中でも特に子宮頸がんの原因として最も多く報告されているHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンで、海外ではすでに100カ国以上で使用されています。
日本では2009年10月に承認され、2009年12月22日より一般の医療機関で接種することができるようになりました。

感染を防ぐために3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。
しかし、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。
子宮頸がん予防ワクチンは、1~2回の接種では十分な抗体ができないため、半年の間に3回の接種が必要です。

ワクチンの効果がどのくらい続くのか、追加接種が必要かどうかについては、まだはっきりとわかっていません。
今のところ、ワクチンを3回きちんと接種した人では、最長で6.4年間は、HPVの感染を防ぐのに十分な量の抗体ができていることがわかっています。

子宮頸がん予防ワクチンを接種することでHPV 16型とHPV 18型の感染を防ぐことができますが、全ての発がん性HPVの感染を防ぐことができるわけではありません。
そのため、ワクチンを接種しなかった場合と比べれば可能性はかなり低いものの、ワクチンを接種していても子宮頸がんにかかる可能性はあります。
子宮頸がんを完全に防ぐためには、子宮頸がんワクチンの接種だけではなく、定期的に子宮頸がん検診を受けて前がん病変のうちに見つけることが大切です。
ワクチン接種後も、年に1回は子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。

イギリスで使われているワクチンは、去年、日本で初めて承認されたものと同じもです。
ただ、日本では自己負担で約5万円の費用がかかります。
自治体によっては負担してくれるところもあります。
イギリスでは国が全額負担していて、希望者は無料で接種することができます。

予防できる病気を予防する意識が大切だと思います。

またのご来店をお待ちしています。

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