2010年7月10日土曜日

白目の出血:結膜下出血

いらっしゃいませ、薬屋です。

雨でお客様も来ないだろうと直感的に感じたある日、期日前投票に行ってきました。
ぶらぶらと帰ってきていると、店の前でお客様にばったり。
「いらっしゃいませ」
ドアを開けてのお出迎えのようでした。

「あー、良かった」
どうやら、薬屋薬剤師を指名のお客様です。

「目が充血したんよ! びっくりして来たんよ」

驚きようから察するに、充血じゃないな、と当たりをつけます。
白目に血の塊がある感じ……言い方は悪いですが、血豆の白目バージョンです。

「充血の目薬、ください」
お客様は、そうおっしゃいます。

「初めてなりましたか?」
「打ったりこすったりしませんでしたか?」
「痛みやかゆみはありませんか?」
「高血圧や糖尿病はありませんか?」
いろいろ尋ねてみましたが、何があったわけでもありません。
症状もありません。
鏡を見て初めて気づいたようです。

「目薬、いりませんよ」
そう言うと、不思議そうな顔をします。
そりゃそうでしょう。
薬屋に薬を買いに来て、「いりません」って薬屋が言うのですから。

疲れ目・充血の目薬に入っているのは、血管収縮剤。
充血は、毛細血管が広がり、血管の中にある血液の赤みで白目が赤くなります。
このお客様の『血豆』は、結膜下出血といって、血管が切れて流れ出た血です。
血管を収縮させても、赤みが引くわけではありません。

Wikipedia に、分かりやすい症例の写真が載っていました。
結膜下出血(Wikipedia)

「血管が切れて、血が溜まったんですよ。1週間から2週間ぐらいで、元に戻ります」
「え? 血管が切れたん。なんで?」
「原因は特にないんですよ。咳をしたり、トイレできばったり」
何度も繰り返したり、生活習慣病で血管が弱っていなければ、ほとんどの場合が問題のないものです。
出てしまった血液を吸収するのに、市販の目薬は必要ないことを話しました。
逆に、血管を収縮させないほうがいいです。
温めるように言う眼科医もいます。

放っておいてもいい状態なのに、薬は必要ありません。
雨の中、わざわざご来店いただいたのですが、そのままお帰りいただきました。
痛みやその他の違和感、異常があるようなら受診をするようにも、申し添えました。

情報提供はタダです。
不安を取り除くだけで、お客様の笑顔が得られます。
それが、薬屋薬剤師には対価となります。

またのご来店をお待ちしております。

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