いらっしゃいませ、薬屋です。
ご近所の奥様がご来店されました。
薬屋薬剤師が、店で本を読んでいるときでした。
仕事時間中でしたけれど。
客「あれ? 何の勉強しよんで?」
薬「社会保障論……社会福祉です」
客「よう勉強するなぁ」
薬「高齢者が多い町ですから、福祉関係の知識がないと話ができないんですよ」
それからしばらく社会福祉関連の話をしていました。
町に一人で住んでいる老親の要介護認定のためにはどこに行けばいいのかと聞かれた話。
自宅で介護をしている老親のことを相談できる場所を尋ねられた話。
認知症の症状が出てきたというような家族の心配事。
バリアフリーに改装しようかというような相談。
膝が痛い人がウォーキングでも負担になるので、代替の運動方法。
デイサービスに通う人たちの日常会話。
そんな話が飛び込んでくるのが田舎の薬屋の現状です。
薬屋であっても、薬の相談だけとは限りません。
介護用品も扱っているのですから、介護や福祉の相談事があっても不思議ではありません。
たとえ最小限の知識でも持っていれば、どこへ相談に行けばいいのかを知らせることが出来ます。
「がんばって勉強してよ」
「ここへ来たらなんでも教えてくれるようになってよ」
「役場って縁がないと敷居が高いんよ」
そんなエールを送ってもらいました。
風邪薬を買いにご来店だったのですが、違う話のほうが長かったです。
その奥さんは、自宅のあるエリアでまちづくりの活動をしています。
商店がめっきり減った地区での活動です。
地元特産物(野菜や魚)、ケーキやたこ焼き、お寿司などを定期的な市で販売しています。
独居高齢者が引きこもらないように昼食を提供できる場所を作ったりしています。
施設訪問などのボランティア活動のときにもお会いしました。
ほとんどが60歳代でも、地域では『若手』グループ。
趣味の延長のような活動に映るけれど、それも長続きの秘訣でしょうね。
自主的に動いていることがすばらしい!
「暇な奥さんたちだからできる」と言う人たちもいます。
でも、そんな人たちとの違いは、地域に対する危機感だと思います。
高齢化社会、高齢社会、超高齢社会の先には、限界集落が待ち受けています。
愛着のある土地、気心が知れた住民とともに長く住み続けようと考えるなら、そのための対策は、住民自身が構築して次世代に送っていかなければならないのだと感じます。
効率化を勧める行政に頼ると、切り捨てられる時代が来るかもしれません。
町の真ん中で住めばいいのだと。
それでは「都会」以外に人はいなくなってしまいます。
遠い昔にあった大家族、互助、共助、地域とのつながり「結い」。
見直される時代ですね。
都会であっても田舎であっても。
またのご来店をお待ちしております。
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