2010年9月28日火曜日

福祉も介護も薬屋の関連分野です

いらっしゃいませ、薬屋です。

ご近所の奥様がご来店されました。
薬屋薬剤師が、店で本を読んでいるときでした。
仕事時間中でしたけれど。

客「あれ? 何の勉強しよんで?」
薬「社会保障論……社会福祉です」
客「よう勉強するなぁ」
薬「高齢者が多い町ですから、福祉関係の知識がないと話ができないんですよ」

それからしばらく社会福祉関連の話をしていました。

町に一人で住んでいる老親の要介護認定のためにはどこに行けばいいのかと聞かれた話。
自宅で介護をしている老親のことを相談できる場所を尋ねられた話。
認知症の症状が出てきたというような家族の心配事。
バリアフリーに改装しようかというような相談。
膝が痛い人がウォーキングでも負担になるので、代替の運動方法。
デイサービスに通う人たちの日常会話。

そんな話が飛び込んでくるのが田舎の薬屋の現状です。
薬屋であっても、薬の相談だけとは限りません。
介護用品も扱っているのですから、介護や福祉の相談事があっても不思議ではありません。
たとえ最小限の知識でも持っていれば、どこへ相談に行けばいいのかを知らせることが出来ます。

「がんばって勉強してよ」
「ここへ来たらなんでも教えてくれるようになってよ」
「役場って縁がないと敷居が高いんよ」

そんなエールを送ってもらいました。
風邪薬を買いにご来店だったのですが、違う話のほうが長かったです。

その奥さんは、自宅のあるエリアでまちづくりの活動をしています。
商店がめっきり減った地区での活動です。
地元特産物(野菜や魚)、ケーキやたこ焼き、お寿司などを定期的な市で販売しています。
独居高齢者が引きこもらないように昼食を提供できる場所を作ったりしています。
施設訪問などのボランティア活動のときにもお会いしました。

ほとんどが60歳代でも、地域では『若手』グループ。
趣味の延長のような活動に映るけれど、それも長続きの秘訣でしょうね。
自主的に動いていることがすばらしい!

「暇な奥さんたちだからできる」と言う人たちもいます。
でも、そんな人たちとの違いは、地域に対する危機感だと思います。

高齢化社会、高齢社会、超高齢社会の先には、限界集落が待ち受けています。
愛着のある土地、気心が知れた住民とともに長く住み続けようと考えるなら、そのための対策は、住民自身が構築して次世代に送っていかなければならないのだと感じます。

効率化を勧める行政に頼ると、切り捨てられる時代が来るかもしれません。
町の真ん中で住めばいいのだと。
それでは「都会」以外に人はいなくなってしまいます。

遠い昔にあった大家族、互助、共助、地域とのつながり「結い」。
見直される時代ですね。
都会であっても田舎であっても。

またのご来店をお待ちしております。

2010年9月27日月曜日

効果的なウォーキング

いらっしゃいませ、薬屋です。

暑さ寒さも彼岸まで。
すっかり秋らしい風が吹いています。

健康のためにウォーキングしている人が増えてきています。
気候がいいと、散歩にも出やすいですね。

メタボ対策やダイエット目的、運動不足解消なら、歩幅を広げると効果的です。
歩く前にストレッチして、意識して歩幅を広げて歩くだけです。

速く歩くわけではありません。
体力に応じて、スピードは調節してください。
20分から30分以上、無理をせずに歩ける速度で歩いてください。
少しだけ歩幅を広げて。

それだけで、使う筋肉の収縮が違います。
基礎代謝が落ちてきた中年……失礼、熟年層には特にお勧めです。

女性なら、どうしてもお肉が重力に従うのが気になるものです。
お尻と太ももの境目あたりなど、どこがヒップのトップなの? って感じになってきます。

歩幅を大きく取ると、普段使わない太もも裏からお尻にかけての筋肉の収縮が思った以上に感じられます。

ひと手間加えるとよくなるのは、お料理だけではありません。

またのご来店をお待ちしております。

2010年9月25日土曜日

草抜き

いらっしゃいませ、薬屋です。

『店の裏庭』と勝手に呼んでいる町民グラウンド。
店に隣接しています。

もう、すぐ保育園さんの運動会らしく、太鼓の音や運動会音楽が鳴り響いています。
練習している子どもたちは、年々人数が減っていっているように思います。

日曜日に保育園運動会かな?
ギャラリーは、父母祖父母勢ぞろいで、子どもたちより多いんです。
毎年のことですので、見慣れてきましたけれど。

薬屋薬剤師が住む地区の共楽運動会(地域の運動会)も、26日です。

この裏庭では、文化の日に町民運動会(地区対抗)もあります。
ふるさとまつりや町民運動会といったイベントの前には、住民の人たちが草抜きをします。
婦人会や町内会、スポーツ少年団などの役員さんが、日時を決めて(指定日召集)抜いています。

大抵は、店が営業している時間帯になります。
店の通用口付近の草ぐらいは抜きたいのですが、指定日には参加できません。
でも、そこは自称『店の裏庭』。
草抜きの日の前に毎年抜いています。

薬屋薬剤師やスタッフが毎日出入りしている店の裏口の前です。
草ぼうぼうで放っておくほうが恥ずかしいです。

土曜日、ひとりで草抜きをしていました。
そこへバイクで通りかかったおじさん。

「おーい。草抜くんもええけどなー、ドリンク売ってくれー」
「は~い!」

なんとのどかな田舎のお店。
顔を見て誰だか分かるので、まずは顔を合わせた人に用件を告げます。
店に入るより先です。

それは自宅でも同じです。
顔を見ればご挨拶です。
それから「おかあさん、おるでー?」となります。
玄関チャイムが鳴る回数は、都会よりも少ないと思います。

店に入ってきていただいたお客様も、先に「こんにちは」と言ってくださいます。
そんなときには、「いらっしゃいませ」よりも、「こんにちは」でお出迎えですね。

またのご来店をお待ちしております。

2010年9月15日水曜日

排便

いらっしゃいませ、薬屋です。

シモの話です……。
排便に関する話です。
お食事中の人、苦手な人、引き返してください。


電話がかかってきました。
ご近所に住む声だけ聞いても分かる人からです。
彼女が名前を言う前から、「あ~、こんにちは!」で、会話が始まりました。

彼女は、ケアマネジャー(介護支援専門員)さん。
利用者さんのことでクスリ相談です。

「腸の蠕動運動を良くする薬はないか」というものでした。

5日も便が出ていない。
浣腸は時々使う。
ラキソベロン(便秘薬)を使うと腹痛。

利用者さんが処方されている薬のことも聞きたかったようです。

処方されているのは、カマグ(便を柔らかくする)、ガスモチン(胃腸の働きを良くする)、パントシン(ビタミンB5、高脂血症でも使うが、腸の動きが悪くなる弛緩性便秘でも使う)。

その薬の説明をして、市販薬の必要はないだろうと返事しました。

次に服用コンプライアンス(指示されたとおりに飲んでいるか)のチェック。
1日3回飲むと、便が漏れるように出る便失禁になり、皮膚がただれるため、「症状に応じて減量」している、とのこと。
減量の仕方が過激(?)だったので、まず便が出るまで処方されたとおりの量で服用することを勧めました。

薬剤師の仕事としては、そこまでかな、という感じです。
尋ねられたことに答えただけ。

調剤薬局や院内薬局でも、そこまでという薬剤師は多いと思います。

「水分摂取は?」
「水分ってどれぐらい取ったらええもんなん?」

相手は、ケアマネジャーです。
相談している人(利用者)は、おそらく高齢者、もしかしたら寝たきりの可能性もあります。

「食事は経口?」
「経口でもいけるけど、今は経管」
「無理やり飲ませても、可哀想やなぁ」
「そうなんよ。お腹がぷくーと膨れるようになるし」
「食後はコップ1杯ぐらいは必要かなぁ。あとは、少量でもこまめに」

軟便剤を飲んでいても、水分がなければ便は柔らかくなりません。
便秘のタイプはいろいろあること、薬の作用についても個人差が大きいこと、排便のサイクルも人それぞれ。
ご近所の年代の近い奥さんということもあって、タメグチで話していました。

そんな話をした上で、
「出るのと出ないのでは出るほうがいいからね。
でも、ご本人が嫌がったり痛がったりするのは、できれば避けたいね」

住む町とは離れた町でケアマネジャーをしている人です。
おそらく、病院薬剤師か調剤薬局に相談したあとだと思われます。
話の端々からそんな様子がうかがえました。

医療関係者は、治療効果のみに目が行きがちです。
福祉関係者は、本人や介護者のことを考えます。

少しだけでも、本人のことを考えられただろうか、と思いながら話をします。

処方どおりの量を服用して、便が出れば減量すること。
飲まなくするのではなく、1回量を減らすような減量をすること。
次回診療時に、処方通りの服用で起こること(便失禁や臀部のただれ)について話すこと。
便が出なければ病院で診てもらうこと。
皮膚のただれは感染症に注意すること。

そんなこと話して電話を置きました。

臨床の現場、福祉の現場、ましてや介護の現場は全く知りません。
看護学概論は1単位取ったけれど、その程度です。
介護福祉論は、2単位だけです。
祖父母や母の自宅介護には縁がありませんでした。
薬剤師としての臨床経験もありません。(現状では、店頭が最も臨床現場です)

一昔前の病院薬剤師は、調剤所に詰めているだけの存在でした。
薬学6年制にしたなら、医療現場に放り出せよ、と思っています。
4年制(調剤師という資格とか)+専門職大学院(臨床薬剤師 Pharm.D.)でいいと思います。

赤ちゃんの成長に比べ、高齢者の老化による機能の低下は個体差が大きいこと。
ましてや、意識やプライド、尊厳が赤ちゃんに比べてあるのが高齢者。
個別の事例に対応すること。
個々人を尊重すること。
それぞれの場面で適切な判断ができること。

『誰のために』にを明確にし、薬というモノよりも人を優先すること。

そんな薬剤師になりたいと思います。

またのご来店をお待ちしています。